『少年のアビス』 峰浪りょう
掲載雑誌「週間ヤングジャンプ」(集英社)
内容紹介
何もない町、変わるはずもない日々の中で、高校生の黒瀬令児は、“ただ”生きていた。家族、将来の夢、幼馴染。そのどれもが彼をこの町に縛り付けている。このまま“ただ”生きていく、そう思っていた。彼女に出会うまでは――。
生きることに希望はあるのか。この先に光はあるのか。“今”を映し出すワールドエンド・ボーイ・ミーツ・ガール、開幕――!!
(公式サイトより引用)
管理者より
僕の死(いのち)が 始まる
久々にこの漫画はすごい!と唸らされました。
個人的に、恋愛漫画の一番難しいところは「なぜその人物を好きになったのか、なぜ惹かれたのかを示すきっかけ作り」だと思います。(人を好きになるのに理由はいらない…とも言いますが)
この少年のアビスはキャラクター達が引き寄せられていく過程に説得力があって、おそらくこれを人の業(因果)と呼ぶのかもしれません。まるで連続殺人事件の解決編において被害者達の共通点が明かされるときのような鮮やかさすら感じさせます。
またこの漫画を紹介する場合、田舎特有の閉塞感とか、縋るように身体を求めるエロスとか、そういった雰囲気が特徴として上がることが多いだろうと思います。しかし私としてはそれ以上に、登場人物達の動きの予想のつかなさに一番の魅力を感じます。
言葉で説明するのが難しい作品なので、まずは今発売している5巻までの表紙を眺めてみてから1巻を読んでみてください。おそらく表紙を見た人の多くは4巻表紙の柴ちゃん先生の笑顔が印象に残ると思います。それから1巻本編の柴ちゃん先生を見ると…それはもうびっくりすると思います。
そんな柴ちゃん先生のことをもっと知りたいと思った人たちのために、ヤマカムさんの少年のアビスの感想記事を紹介いたします。
『少年のアビス』柴ちゃん先生こと柴沢由里をすこれ! (ヤマカム)
また単行本表紙もそうですが、中身のデザインセンスも全てが神懸かっております。
ちなみに私の一推しヒロインは3巻表紙のチャコです。ちょっとぽっちゃりしているところも含めて好きです。
管理者イチオシの漫画です。
余談ですが、最近1対1のラブコメが流行している一方で、『少年のアビス』、『ゆりあ先生の赤い糸』、『付き合ってあげてもいいかな』のような作品が売れているのを見ると嬉しい気持ちになります。どちらが良い悪いではなく、清濁併せ吞んでこそというか、一対一の純愛も、少し爛れた恋愛も、両方を物語として楽しめる文化があるのは素晴らしいと思います。
また更にどうでもいい話ですが、この『少年のアビス』を読むといつもMr.Childrenの「未来」が頭の中に流れます。懐かしい名曲です。
参考画像(画像クリックで引用話数表示)
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