DYS CASCADE

『DYS CASCADE』 中川海二

掲載雑誌「月刊少年マガジンR」(講談社)
(※電子媒体の雑誌です)

内容紹介
警察署に置かれたバケツの中には12リットルの血液と1本の腕が入っていた。
超ベテラン刑事と女性やり手・警察官のバディが片腕のない男を追い詰める。
警察にケンカを売り続ける片腕の男。
捜査を進めれば進めるほど謎は深まり過去に起きた事件も次々と関連を見せ始めた……。
この事件、根が深い!

『ROUTE END』でサイコ・サスペンスの実力を示した中川海二、最新作。
公式サイトより引用)

管理者より
あの『ROUTE END』を描かれた中川海二の新作です。このDYS CASCADEもROUTE ENDと同様に連続殺人が絡むサスペンスとなります。

まずは第一話!第一話を読んでみて下さい、事件の謎と容疑者のインパクトに惹かれると思います。しかも今回は主人公(三坂)がベテラン刑事です。この渋さが堪りません。

単行本は現在3巻まで発売しておりますが、1巻を読むとまず間違いなく最新刊まで、さらにコミックDAYSの最新話まで手が止まらなくなると思います。相変わらずキャラ造形と動かし方が上手いんですよね。本編前で三坂とコンビを組んでいた小畑とか、今作も魅力的な脇役が多いです。

↓↓参考画像の下にも追加コメント書いております

参考画像(画像クリックで引用話数表示)

”DYS CASCADE” 1巻第1話より引用
”DYS CASCADE” 1巻第1話より引用
”DYS CASCADE” 2巻第10話より引用
”DYS CASCADE” 2巻第10話より引用
”DYS CASCADE” 2巻第12話より引用

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(以下脱線)
私は過去に森博嗣や京極夏彦、そしてピエール・ルメートル(代表作:ヴェルーヴェン警部シリーズ)などのミステリィ小説にハマっておりました。その影響もあり中川海二の漫画をイチ推しているのですが、何故自分がこんなに連続殺人ミステリィが好きなのか、以下の通り紹介します。

そもそも私は、連続殺人ミステリィの最大の醍醐味とは「一見すると無関係だったはずの被害者達に共通点が見つかる場面」にあると考えます。

逆に言うと、例えば犯行トリックの理屈などは、正直いくらでもこじつけできるので最重要ではないです。また犯行動機というのも、些細な切っ掛けであろうと純粋なサイコパスであろうと構いません、動機と犯行のバランスは本質でないと思います。

たしかに科学的な理屈や情状も重要です。しかしそれよりも、ある他人同士がどうやって被害者・加害者という関係に至ったのか、この謎の開示をいかに破綻なく、かつスリリングに行えるかが最も肝要だと考えます。特に連続殺人であれば被害者と加害者の点が、一本の線ではなく網目となって結ばれます。そこにドラマがあり、上記の作家達はその種明かしが上手いです、その中で最も感銘を受けたのが、ピエール・ルメートルの作品です。

上の文章だけでは実感が湧きづらいと思いますので、併せて漫画の事例として『Q.E.D.証明終了』(加藤 元浩)27巻後半に収録されている「立証責任」という短編エピソードを紹介します。

Q.E.D.―証明終了―(27) (月刊少年マガジンコミックス) Kindle版

こちらは殺人事件ではなく、学校で裁判員制度を学ぶために実際の弁護士・裁判官も交えて模擬裁判をするお話です。裁判の教材としてもよく出来ているのですが、真相解明の鮮やかさも素晴らしく、良くできた物語だと思います。この27巻だけ購入して読んでも全く問題ありません。ちなみに『Q.E.D.証明終了』は高校生の頃にドラマを観て作品を知りました。この「立証責任」もドラマ最終話で放送され当時強く印象に残ったエピソードです。

また最後にもう一つだけ紹介すると、小説の『13階段』(高野和明)もオススメです。

13階段 (講談社文庫) 文庫 – 2004/8/10

(以上、脱線終わり)


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