『ROUTE END』最終回感想・時系列まとめ

Fate HF劇場版、Aimerの歌が初めてビビッと来た…Cメロ前のギターソロがカッコいいですね。

※本記事は完結したサスペンス漫画『ROUTE END』の感想記事です。

初見の方はまず下記リンクの紹介記事をどうぞ。(ネタバレ無しなのでご安心を)


『ROUTE END』(傑作漫画データベースより)

最終回まで読まれた方は下へスクロールしてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

…さて、ジャンプ+で連載されていた本格サイコ・サスペンス漫画『ROUTE END』がようやく完結しました。

「END事件」という凄惨な連続殺人としてのインパクトが大きいため”サスペンス漫画”として広告される本作ですが、私は一貫してこの漫画を”本格ミステリィ”として人に薦めております。

またこの漫画は警察ものとしても一級品であるため、ピエール・ルメートル(代表作『その女アレックス』)などが好きな人は絶っ対ハマると思います。

今回はROUTE ENDを最後まで読んだ方向けに、以下の内容をまとめました。

  • 最終回考察(最終回で明らかになったこと)
  • END事件の時系列まとめ
  • 最終回後も依然として残った謎

 

■ 最終回考察(最終回で明らかになったこと)

1. 橘社長と江崎の関係性

ジャンプ+のコメントで「ラスボスvsラスボス」とまで言われた橘社長と江崎連理の対峙、江崎の台詞からこの二人が初対面であることが明かされました。

江崎は患者の一人である小田慎太郎から”神様”の蘇生の話を聞いていたようですが、まさかEND事件被害者として報道されたうちの一人がその神様だとは知らなかったようです。(そもそも神様の話を本気にしていなかったと思われます)

2. 橘社長の生き返りの真相

江崎の「…死者をカウンセリングするのは初めてだ」という言葉から、END事件被害者の一人として報道された橘社長の顔と、目の前にいる”川上(橘社長)”が同じ顔であるというのは明白のようです。

これは4巻で柳女が三つ子Dの顔を見て「橘さん!?」と驚いたことと、三つ子の遺体のDNAと指紋が一致したこととも矛盾しません。

橘社長と江崎の問答で、まったく新しい肉体を得て生き返ると言われていますが、あくまで同一人物としての蘇生のようで、別人に生まれ変わることはないようですね。

ただし蘇生にも一点だけ条件があって、50歳前半の肉体として蘇生してしまうようです。

これまた興味深い制約です(笑)

3. 江崎の最後の言葉の意味とは?

江崎は橘社長の「君の人生はあるか?」という問いかけに対して、最後に「私に人生など在りはしない」と答えます。

他の方の感想を見ると、メタ的な意味での回答(「ROUTE END」という世界がフィクションであることに自ら言及している)という解釈が多いようです。

…しかし、私の解釈は少し違います。

私の解釈は、「橘社長を(現実世界に存在する)神として認めた上で、神に殺されることを選んだ」です。これだけだと分かりづらいので具体的に、考察も交えて説明していきたいと思います。

まず橘社長は最終的に江崎を殺害しておりますが、これは江崎が「私に人生などない」と回答したためです。江崎が「人生がある」と回答していれば、橘社長は江崎を殺さなかったでしょう。これは橘社長が真人を殺さなかった(あくまで司法で裁かれるように導いた)ことから分かります。

そしてその二択の意図を江崎は見抜いていた、と私は考えます。

「人生などない」と答えて神に対する脅威として殺されるか、「人生がある」と答えて悪趣味な行為をする人間として見逃されるか、その二択を迫られていることを江崎は知っていた、だからこそ「人生などない」と江崎は答えたというのが私の解釈です。

自前の神が欲しかった、という江崎が神に裁かれるなんとも皮肉な結末ですね。

 

■ END事件の時系列まとめ

END事件はそもそも物語開始時点で4人目が殺害されており、また後から明かされた真人と橘社長の行動などがあるため、情報の整理のために時系列を以下のようにまとめてみました。(表示は画像ですがリンク先PDFにしております)

ただし真人の自動車や加藤臣に被せられていた仮面などについては、考察も交えて書いております。

時系列をまとめる途中に気付いたのですが、真人が高校時代に橘社長を刺したのは、橘社長が特殊清掃業を始めた後です。真人(15歳)が刺した三つ子Aのさらに前の橘浩二がどうやって死亡したのかは不明です。

またROUTE END解説で何度も口酸っぱく言っておりますが、「ROUTE END」に本物の橘浩二は登場しません。その点だけご注意ください。

■ 最終回後も依然として残った謎

ROUTE ENDは最終回後もまだ多くの謎が残っています。ざっと思いつくだけでもこれくらいですね。

  1. 橘社長は被害者の自殺と江崎の関与にどのタイミングで気づいたのか
  2. 橘社長(主に三つ子D)はどうやって事件の情報を得ていたのか
  3. 橘社長は生き返り以外に超常の力を持つのか
  4. 橘社長はどうやって江崎を殺したのか
  5. 最終回の書き置きの暗号の意図は

5の謎ときは苦手なのでお手上げです(汗)誰か得意な人が明かしてくれるでしょう…。

4についてはあまり考察のし甲斐はないですが、「もののけ姫のシシ神様のように他者の生命を操れる説」「橘社長の肉体のストックにされている説」とかも有り得なくはないですね。5巻で消えたチンピラなども同様かもしれません。

3は4の江崎殺害現場の人並外れた凄惨さや、1,2を考えているうちに「橘社長に読心能力がある説」などが浮上したため挙げています。可能性は低いかもしれませんが、あっても不思議ではないと思います。

1,2こそがこのROUTE ENDの肝だと思います。

橘社長は少なくとも三つ子C死亡(加藤臣殺害後)までは、真人が被害者を殺したと考えており自殺のことに気づいていません。自殺(あるいは江崎の関与)に気づいたのは、三つ子C死亡(三つ子Dとして蘇生)~柳女自殺未遂の間と思われます。

ただし具体的にどうやって知ったのかは謎です。

真人の台詞から「殺してやった」が嘘ということに気づいた可能性、読心能力を持っていて真人の心を読んだ可能性、あるいは小田慎太郎と同様に西沢久美も信者として面識があった可能性など、いろいろ考えられますね。

これに関連して、橘社長(三つ子D)がどうやって警察の情報を知り続けたのかという大きな謎があります。

たしかに橘社長はチンピラを通して菊田巡査長に指紋を処分させたりしておりますが、これだけでは5巻で鬼頭刑事の身辺を知っていたこと、指紋一致の隠蔽を確認できたことの説明にはなりません。またこれも最終回で明らかになりますが、橘社長は被害者の自殺の動機を詳細に把握しておりました。

更に5巻で橘社長がイヤホンをしているシーンがあり、このイヤホンの先が真人の車の中なのか、警察関係者の無線なのかは明確になっておりません。

考えられる可能性としては、上で述べたとおり橘社長がさらに超常の力を持っていて事件の情報を得ていた可能性、そしてもう一つ、菊田巡査長以外に警察関係者と内通していた可能性が考えられます。

ちなみに私は警察内通者の線を疑っています。私の勘では野口係長が一番怪しいです(笑)

考察は以上です。

本当に素晴らしい作品に出会えたことに感謝するとともに、また中川海二さんの新作がジャンプ+で読めることを期待しております。(できれば鬼頭刑事と若狭恭二は再登場してほしい…)

それから最後に、中川海二さんが別名義(中川貴賀)で描かれた過去作『リメインバッド』(全一巻)もお勧めです。

本格刑事漫画で、全一巻とは思えない登場人物の濃さがクセになりますよ。

 

 

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