スパロボBGMで振り返る『鬼滅の刃』(後編)

週刊少年ジャンプで完結した『鬼滅の刃』のキャラクターに似合うスパロボBGMをまとめた記事の後半です。前半は下記リンクからどうぞ。

スパロボBGMで振り返る『鬼滅の刃』(前編)

ここからクライマックスの無限城編に入ります。

無限城編(16巻~23巻(ラスト))

  1. 鬼舞辻 無惨(産屋敷):『求めていた 「答え」』

『求めていた 「答え」』(BGM出典:スパロボOGs)

産屋敷耀哉と無惨の対話には、スパロボOGシリーズにおける黒幕登場時の会話BGMを選びました。

ここで無惨の「永遠」という目的が暴かれますが、旧来の悪役のような「支配」に比べると、スケールは小さいと思われます。

しかし鬼なら倒せばそれで終わりですが、これが人間同士の領土侵略や紛争だったら?恨みとして永遠に残るのか?相手を殲滅するまで消えないのか?という疑問もふと湧きます。

かと言って覚悟さえあれば何をしても良いというわけでもありません。

「他人の命を粗末にするような人の道を外れることをしてはいけない。その恨みは一生消えない」と言葉にするのは簡単ですが、現実世界の鬼は漫画のように分かりやすい鬼の姿をしておりません。平気な顔で他人の命(時間)を粗末にする(ディスカウントする)人間は多く存在します。

そう考えるとこの鬼滅の刃も、あくまで御伽噺に過ぎないかもしれません。だからこそ我々も戦うしかないのです…。(なんの話だ笑)

  1. 童磨(上弦の弐):『傀儡の眼神』

『傀儡の眼神』(BGM出典:スパロボZ)

無限城編の開幕戦となるしのぶVS童磨には、スパロボZのボスBGMを選びました。この『傀儡の眼神』はラスボス一つ手前のBGMで、ラスボス(黒幕)のBGMとセットになっております。童磨の後半戦にはそのラスボス用BGMを選ぶつもりです。(むしろそれが本命です)

童磨というキャラは、上弦の中でも圧倒的な強さの鬼です。16巻ラストでしのぶの渾身の突きで一矢報いたように見えますが、童磨はその表情ほどしのぶのことを脅威に感じていなかっただろうと思います。

  1. 胡蝶 しのぶ & 胡蝶 カナエ:『桜花幻影』

『桜花幻影』(BGM出典:スパロボOGs(初出はスパロボOG2))

しのぶとカナエの二人には、スパロボOGのオウカのBGMを選びました。選んだ理由は当然ながら「命を散らす乙女」という共通点です。(ただしオウカが乗るラピエサージュという機体は結構ゴツくてカッコいいです)

童磨戦での一方的な敗北を見ると、しのぶさんはかなり無理して柱をやっていたのだろうと思います。腕力的な意味でも、体内の毒の意味でも。

  1. 獪岳(上弦の陸):『Devastator』

『Devastator』(BGM出典:第二次スパロボOG(初出はスパロボD))

獪岳にはスパロボDのボスBGMを選びました。最後は誰にも看取られず塵となって消える哀れな鬼ですが、繰り出される技はかなりカッコいいと思います。

  1. 我妻 善逸:『疾・風・迅・雷』

『疾・風・迅・雷』(BGM出典:第三次スパロボα)

オリジナルの第漆の型「火雷神(ほのいかづちのかみ)」を編み出した善逸には、第三次スパロボαのスーパー系主人公の後継機「大雷凰」のBGMを選びました。BGM候補は他にもスパロボTの『UPRIGHT ACCELERATOR』を思いついたのですが、限界を超えた一撃!が似合う曲として疾・風・迅・雷の方を選びました。

何気に善逸が意識を保ったまま戦闘したのはこれが初めてです。(妓夫太郎戦では目を瞑ったまま会話していました)

自分の強さへ自信を持つきっかけになる戦いが、兄弟子との死合いというのは皮肉なものだと思います。

しかしこの獪岳と善逸の戦闘はかなりアニメーション映えすると思うので、今のうちからアニメで見るのを楽しみにしています。(映像だけでなく音響も腕の見せ所だと思います)

  1. 猗窩座(あかざ)(上弦の参):『TRINITY IDOL』

『TRINITY IDOL』(BGM出典:第二次スパロボOG(初出は第二次スパロボα))

無限列車編ではガイオウのBGM『破界の王』を紹介しましたが、今度選んだのはガイオウ繋がりの『無窮の闘神』ではなく、第二次スパロボαの中ボスBGMの『TRINITY IDOL』です。

選曲の理由はこの曲が中ボスBGMながら、ドラムの盛り上がりがとてもカッコよくライバルBGMとしてふさわしいからです。もう一つの理由は『TRINITY IDOL』がスパロボで流れるボスの一体「ザナヴ」(豹型ロボ)と、猗窩座の”狛犬”をかけたためです。

この猗窩座の回想はかなり衝撃的でした。剣術道場で67名も殺害できたのは、状況を察するにおそらく最初に道場の人間が猗窩座(狛治)が逃げられないように施錠したのでしょう。…それで逆に逃げられなくなったのだと思います。

  1. 竈門 炭治郎 & 冨岡 義勇:『Skill Ver.αII』

『Skill Ver.αII』(BGM出典:第二次スパロボα)

炭治郎と義勇の師弟コンビと猗窩座のバトル、この中盤のクライマックスには第二次スパロボαの最終話マップBGM『Skill Ver.αII』を選びました。

これはJAMの「Skill」という曲をオーケストラアレンジしたものです。この時期のスパロボシリーズは最終話でOP曲のオーケストラアレンジが流れるのがお約束になっておりました。(最近は曲がそのまま流れることが多いです)

またOP曲の作中アレンジといえば、テイルズオブジアビスのアッシュ戦BGMも好きです。

猗窩座が首を失ってなお戦い続けようとするなかで、義勇が炭治郎をかばうシーンは本当に好きです。リアルタイムで放送されていたアニメ一話と見比べると、感慨深いものがありました。

  1. 童磨(上弦の弐):『CHIMERA』

『CHIMERA』(BGM出典:スパロボZ)

前半戦(VSしのぶ)では『傀儡の眼神』を選んだので、後半戦(VS伊之助、カナヲ)ではスパロボZのラスボスBGM『CHIMERA』を選びました。選曲の理由はこのスパロボZのラスボスのジ・エーデル・ベルナルというキャラクターが、硬派なスパロボには珍しい快楽主義的なキャラで、それが童磨と共通していると思われたからです。

またスパロボZシリーズは作品内でボスBGMのイントロが統一されているのですが、このCHIMERAは二段イントロになって、底の見えなさがとてもカッコいいです。

正直なところこの童磨というキャラクターは、本来は伊之助やカナヲで太刀打ちできる相手ではなかったと思います。しのぶの毒という飛び道具がなければ、(炭治郎達も含めて)風柱・岩柱以外やられていたと思います。

ともあれ底力を出すことができなかった、本気を出せなかったというのも、それはそれで実力のうちかもしれませんね。『嘘喰い』の能輪紫音立会人や『コードギアス』のシュナイゼルを思い出しました。

最後まで良いキャラだったと思います。

  1. 嘴平 伊之助:『ACE ATTACKER』

『ACE ATTACKER』(BGM出典:スパロボOGs(初出はスパロボα))

伊之助は前回選んだ『VANISHING TROOPER』繋がりで、同じくスパロボαのリアル系主人公の、後継機ヒュッケバインMK-IIIのBGMを選びました。この切なさを感じさせるイントロはいつ聴いても鳥肌が立ちます。

童磨戦における伊之助の戦いぶりは、本当に最初から最後まで伊之助らしい、マイペースで変則的なものだったと思います。

童磨が再三「変な太刀筋」「剣術の基礎もできていない」と言うのを見るに、本当に腕を振り回すような滅茶苦茶な斬り方なのだろうと思います。

  1. 栗花落 カナヲ:『涙拭う翼』

『涙拭う翼』(BGM出典:スパロボZ)

童磨に『CHIMERA』を選んだのもあって、同じくスパロボZから、リアル系主人公の後継機BGM『涙拭う翼』を選びました。(『流星、夜を切り裂いて Ver.H』(第二次スパロボα)と悩みました)

カナヲのしなやかな筋肉(バネ)を活かした戦い方(スラムダンクの流川のような動き)がかなり好きなので、正直なところもっと早く活躍させてほしかったと思います。那田蜘蛛山であれば累の糸の攻撃をかいくぐって攻撃できたかもしれません。

カナヲの泣けないトラウマの話は、なんとなく文学少女シリーズの『死にたがりの道化』に登場する竹田千愛ちゃんのエピソードを思い出しました。

それから戦闘をもっと見たかったと言いましたが、アオイ、カナヲ、炭治郎の三角関係的な絡みも、もう少し見てみたかったです。

  1. 黒死牟(こくしぼう)(上弦の壱):『古の忌憶』

『古の忌憶』(BGM出典:第二次スパロボOG)

21巻サブタイトル『古の記憶』と曲名『古の忌憶』のつながりで、第二次スパロボOGの最終話マップBGMを選びました。(『ダークプリズン』と少し迷いました)

待ちに待った黒死牟の登場、そして「月の呼吸」の衝撃、あまりの強さに対する絶望感はリアルタイムで毎週目が離せませんでした。

ただしスパロボファンの方なら、黒死牟の月の呼吸の斬撃を見て、楠舞神夜(無限のフロンティア)の月鱗を思い出した人も多いと思います。

また風柱、岩柱という味方の増援(作中で初めて本格的に戦闘シーンを見せる柱達)に対して、黒死牟のモノローグを通じてその強さを知るというのは、なんとも不思議な感覚でした。

無限城での黒死牟の初登場時は話し方が流暢でなかったため、自我を奪われた戦闘マシーンか?と当初は思いましたが、そんなことはなく純粋に鬼殺の剣士が血鬼術を得ることによって技を昇華させた最強の鬼でした。

ちなみに、もし黒死牟ではなく「継国 巌勝」としてスパロボBGMを選ぶなら、第二次スパロボZの『天の金剛』が似合うと思います。

  1. 不死川 実弥(風柱):『DARK KNIGHT』

『DARK KNIGHT』(BGM出典:スパロボOGs(初出はスパロボA))

ダークヒーローとしての素質がある風柱の実弥には、スパロボAの男主人公、アクセルのBGMを選びました。

落ちている刀や銃、そして火薬など、環境をうまく利用する柔軟な戦い方が風柱の魅力だと思います。それから呼吸の性質上、攻撃の間合いも広いため、攻撃力は岩柱に次いでNo.2だと思います。

  1. 悲鳴嶼 行冥(岩柱):『剣・魂・一・擲』

『剣・魂・一・擲』(BGM出典:スパロボOGs(初出は第二次スパロボα))

「悪を断つ剣なり!」という台詞が似合いそうな悲鳴嶼さんには第二次スパロボαのスーパー系男主人公、ゼンガーのBGMを選びました。(これにあわせて風柱のBGMを『Trombe!』にするアイディアもありました笑)

ムキムキマッチョな筋肉キャラが名実ともに最強というのは、少年漫画では(少年漫画だからこそ逆に)なかなか見られないと思います。

しかしこの岩柱の戦いぶりは本当にかっこよく、「大質量を筋肉で自在に操り高速で相手にぶつける」ための鎖の動き、その鎖を手繰り寄せる腕の筋肉と体幹、そして鉄球の慣性、1ページ1ページすべてに説得力があります。

無惨戦もそうですが、鬼滅の刃の終盤戦は水平な地面に拘らない演出が多く空間的な魅せ方がとても上手です。吾峠呼世晴先生のとんでもない画力(頭の中のカメラワーク)にため息が出てしまいますね。

  1. 不死川 玄弥 & 時透 無一郎 :『THE UNBREAKABLE』

『THE UNBREAKABLE』(BGM出典:第二次スパロボZ)

玄弥と無一郎の二人には、20巻サブタイトル『匪石之心(ひせきのこころ)が開く道』にかけて、第二次スパロボZの主人公クロウの、後継機BGMを選びました。ちなみに匪石之心(ひせきのこころ)というのは、自分の信念を堅く守り、決して揺らぐことのない心のことを言うそうです。

黒死牟の容赦ない斬撃によって無一郎の身体が徐々に欠損していくのは見るのが辛かったです。人間の身体はモビルスーツじゃないんだよ涙

それから玄弥の覚醒についても、黒死牟の刀の一部を飲んだことが吉と出るか凶と出るか、あの緊迫感も好きでした。玄弥の血鬼術は木の幹を操るものだったため、これはおそらく半天狗の能力をラーニングしたと考えられます。

  1. 黒死牟(こくしぼう)(上弦の壱):『ZEST SEVEN』

『ZEST SEVEN』(BGM出典: 第三次スパロボα

玄弥の血鬼術と無一郎の特攻によって追い詰められた黒死牟には、第三次スパロボαの終盤ボスBGMを選びました。(ゴッツォつながりです)

最後まで読み応えたっぷりの黒死牟戦でしたが、一つ不満点を挙げるとするならば最後まで黒死牟と炭治郎が出会わずに戦いが終わってしまったのは個人的に残念でした。炭治郎の日の呼吸を見て激昂する黒死牟を期待した人は私以外にもいただろうと思います。

もし叶うならば、ドラゴンボールの劇場版のように、本編時空とパラレルで炭治郎と黒死牟が共闘する(日の呼吸と月の呼吸のコラボ)展開を見てみたいですね。

  1. 継国 縁壱:『虚空からの使者』

『虚空からの使者』(BGM出典:スパロボOGs(初出はスパロボα))

おまけのような選曲ですが、黒死牟の一曲目に『古の忌憶』を選んだため、その関連でこの曲を選びました。スーパーロボット大戦では「敵のユーゼスと味方のイングラム」という二人の因縁がいくつかのシリーズで登場するのですが、今回は黒死牟⇒ユーゼス、縁壱⇒イングラムという、時を越えた二人の因縁としてBGMを組み合わせました。

鬼滅の刃という作品の全時系列含めて圧倒的な強さを誇る縁壱ですが、このような「ザ・人外」の作中最強キャラといえば、「結界師」に登場する墨村守美子(主人公の母)が一番近いと思います。

また「痣者」という概念もなかなか辛く、「寿命を前借りして強さを得る術」と思われていたものが、実際には「縁壱の強さに近づくために寿命を前借りして強さを得る術」でした。

縁壱という人外の強さを追い求めるために命を投げ出す鬼殺隊を見ると、鬼殺隊と縁壱が出会ったのは幸だったのか不幸だったのか…と思わずにはいられなくなります。

  1. 鬼舞辻 無惨(戦闘形態):『Despair』

『Despair』(BGM出典:第二次スパロボOG(初出はスパロボD))

無惨(戦闘形態)にはスパロボDのラスボスBGMを選びました。選曲の理由は総力戦というイメージに似合う曲であり、また無惨の声優が関俊彦で、スパロボDのラスボス(ペルフェクティオ)と同じだからです。

鬼滅の刃の面白いところは、無惨の目的が徹底した「個」(無惨自身)の保存にあるところです。鬼という種の繁栄・保存を目的とするならば、無惨も一般女性や元女性の鬼と子供を作ったかもしれません。しかしそれがない様子を見ると、子孫を残すことにすら無惨は興味が無かったのだろうと思われます。(性欲そのものがあったかどうかは知りませんが)

それから鬼滅の刃の無惨についてもう一つ言いたいことがあって、それは無惨の強さが読者にうまく伝わっていないのが残念でならないということです。

鬼滅の刃の最終戦の感想を眺めていると「無惨は手を振り回しているだけじゃないか」というコメントを見かけることが多いです。しかし無惨の強さの最大の秘訣は、192話で炭治郎が言っていたように

「無惨は変幻自在だ 固定された姿で認識すると 思わぬ攻撃を喰らう」

という点です。

黒死牟も間合いを無視するような遠距離攻撃を畳み掛けてきましたが、それでも「刀を振って攻撃する」という動作そのものは一定です。つまり刀を注視することによって斬撃を予測することが可能です。(一応、黒死牟も最後は振りかぶり無しで斬撃を出してはいましたが)

少し脱線しますと、例えば野球の場合「熟練のバッターは、ピッチャーのヒジ周辺に注目する」というアメリカの研究があるそうです。これを”周辺視システム”と呼ぶそうです。(Dreams』27巻参照

ではこれを無惨に置き換えるとどうなるでしょう。無惨は両腕と背中の管だけでなく、思わぬタイミングで太腿の管が攻撃を仕掛けてきます。

これを野球に例えるならば「千手観音のように多数の腕を持ったピッチャーがボールを投げてくる、更には急に脚からボールが放たれることもある」ようなもので、バッターはどの腕からボールが放たれるのか全く予測がつきません。この場合いかなる熟練者であっても、上で紹介したような周辺視システムによるボールの予測は出来なくなります。

つまり達人であればあるほど、今まで培った経験に基づき相手の行動を予測していたものが、無惨の変幻自在の攻撃によってそれを封じられてしまいます。だから無惨は強いのです。

  1. 伊黒 小芭内(蛇柱):『迫り来る敵』

『迫り来る敵』(BGM出典:第二次スパロボOG(初出は魔装機神 THE L.O.E))

鳴女との戦いであまり活躍できなかった小芭内ですが、無惨戦では一番のカッコ良さを見せたキャラクターだと思います。無惨戦の象徴として、魔装機神シリーズのボスBGMを選びました。

小芭内の回想では、蛇鬼とその鬼が殺した人間の金品を奪い、代わりに赤子を蛇鬼に捧げる一族という、人間と鬼の共生関係が描かれておりました。こういった共生関係は他にもあったかもしれません。

ただし時代を遡れば鬼を利用した大名などいたかもしれませんが、明治・大正時代においては大半は鬼側の寄生だったと思われます。童磨が教祖をしていた万世極楽教も、変則的ですが共生関係の一種ですね。

  1. 甘露寺 蜜璃:『INVISIBLE AS.』

『INVISIBLE AS.』(BGM出典:第三次スパロボα)

おまけの選曲ですが、最終戦の蜜璃と小芭内の二人に焦点を当てたかったので、第三次スパロボαのリアル系女主人公セレーナの、後継機BGMを選びました。

刀鍛冶の里編で紹介した『Powerful Eater』に比べると、この曲は復讐がテーマになっているので切ない曲調になっております。そして私はこの曲がスパロボシリーズの中で最も好きです。

  1. 竈門 炭治郎(日の呼吸):『太極のオーバーライザー』

『太極のオーバーライザー』(BGM出典:第三次スパロボZ)

祖先の記憶をたどり、日の呼吸の極意(13個目の型)にたどり着いた炭治郎には、第三次スパロボZの主人公ヒビキの、後継機BGMを選びました。この曲もカッコよくて、特に曲の2週目ループに入ってから追加されるドラムが良いんですよ。

最終的に炭治郎の覚醒だけで無惨を倒すことは出来ませんでしたが、最後、柱達もほぼ動けない中での、かまぼこ隊の無惨への連撃にはこみ上げてくるものがありました。

一方で「無惨戦は盛り上がりに欠ける」という評判も見かけることがあります。

この理由は大きく二点あって、

  • 鬼滅の刃の戦闘は、基本的に手持ちのカード以上のものは使わない
    ⇒新しい要素が黒死牟戦に比べて少なかった
  • 「変幻自在」という無惨の強さがあまり読者にピンと来なかった

ためだと考えます。

一点目の手持ちのカードについて具体例を挙げると、黒死牟戦では風柱、岩柱の初戦闘、玄弥の血鬼術などの新しい要素が多くあったのに対して、無惨戦では蛇柱の初戦闘と炭治郎の日の呼吸の覚醒くらいしか目立つものが無かったため、少し読者が退屈に感じてしまった可能性はございます。また炭治郎の覚醒も、13個目の型にたどり着いたというだけで、日の呼吸を自在に繰り出す肉体まで手に入れたわけではありません。それは当然のことなのですが、少年漫画のカタルシスとしては少々パンチ不足だった可能性もあります。

次に二点目の「変幻自在」の無惨の強さに関してですが、これは無惨の項で解説したように、相手の肉体(骨格)が固定されていなければどんな達人も動きを予測することは大変に難しいという意味です。しかしそれが読者に伝わり辛かったようです。

隠し腕という発想自体はロボアニメでたまに見ますが。普通はまず避けられません。

番外編. 竈門 炭十郎:『THE GUN OF DIS』

『THE GUN OF DIS』(BGM出典:第三次スパロボα)

番外編ですが、炭十郎には無惨(ユーゼス)、縁壱(イングラム)つながりで、第三次スパロボαのリアル系男主人公クォヴレーの、後継機BGMを選びました。

スパロボという作品においてこのクォヴレーは、イングラムが乗っていたアストラナガンを元にしたディス・アストラナガンという機体に乗ります。そのためBGMも『THE GUN OF DIS』(ディス・アストラナガン)は『虚空からの使者』(アストラナガン)をアレンジした曲となっております。

またこのディス・アストラナガンという機体は、スパロボシリーズを通してもかなり強いです。

炭治郎自身も「父さんのような才覚が俺にはない」と言っていますが、作中の描写からも生まれ持った素質は炭十郎の方が上だったと思われます。最後の無惨戦でも炭治郎は日の呼吸の型を繋ぎ続けることはできませんでしたが、炭十郎だったならば一時間近い炎舞を成し遂げることができたと思います。

別作品で恐縮ですが、この炭治郎と炭十郎の親子関係を見ると、Web漫画「刀遊記」に登場する清十郎(主人公)と万十郎(父親)の関係を思い出しました。(実力差云々の話ではなく、父親に対するリスペクトという意味で)

しかし結局のところ無惨を倒す決め手になったのは、日の呼吸そのものではなく珠世の分裂阻止の薬です。

炭治郎の項で、炭治郎の覚醒が少年漫画としてパンチ不足だったかもしれないと述べてはおりますが、これも鬼滅の刃という作品テーマとして当然だったと思います。炭治郎が一人だけ縁壱や炭十郎のようにいきなり強くなったとしても、結局は縁壱と同じように無惨に逃げられてしまい、同じことの繰り返しにしかなりません。

弱くてもいけないが、強いだけでもダメ、最終的に他の仲間との縁、柱との縁、鬼との縁があってこそ無惨討伐を成し遂げることができた、というのは鬼滅の刃のテーマを体現した結末だと思います。

長くなりましたが以上です。セットリストは以下の通りです。

他にコメントするならば、猗窩座は一時的にでも仲間になってほしかったです。スパロボシリーズでは中盤に散々邪魔してくる中ボスはラスボス戦で仲間になってくれることが多いので…(笑)

あとは黒死牟の項でも述べた通り、黒死牟と炭治郎の絡みが作中で実現しなかったので、オリジナルの劇場版で見られることを期待します。(何年先だ…)

最後に、今回紹介しきれなかったスパロボBGMの中でお気に入りのものを紹介します。(これもほんの一部です)

冒頭で申し上げた通り、鬼滅の刃に比べてスパロボの方が女性パイロットの数が多いので、女性キャラのBGMが多くあぶれてしまいました。

これをきっかけに鬼滅の刃、またはスパロボシリーズ、どちらかしか知らない人がお互いに興味を持ってもらえると大変嬉しいです。

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