10巻より始まったB級ランク戦の第2ラウンド。第1ラウンドで快勝してB級12位になった玉狛第二が、B級8位の諏訪隊と10位の荒船隊に挑みます。そう、あの大規模侵攻において本部内のエネドラ戦で活躍した諏訪隊と、ランバネイン戦で活躍した荒船隊です。
戦闘経験で負ける相手に修達はどう挑むのか、そしてその次の第3ラウンドの相手はなんと…!?
…まずは10巻ラストのおさらいから。
第1ラウンドで快勝してB級12位になった玉狛第二が第2ラウンドで挑むのは、8位の諏訪隊と10位の荒船隊になりました。
僕ら読者から見れば顔なじみの諏訪隊と荒船隊ですが、修達にとっては全く知らない相手ですので、過去のランク戦のデータ分析をしなければなりません。
その分析の結果、スナイパー3人が距離を取って陣形を作る荒船隊に近づく手立てがなかなか見つからないと修は悩みます。
そこで宇佐美が、ランクが一番低い(この場合12位の玉狛第二)チームにはステージを選ぶ権利があるから、戦いやすいステージを選べると助言します。
地形を使って狙撃を封じる手立てがあるかもしれないからです。
そしてランク戦当日、初めて3人揃いの隊服、もとい千佳ちゃんの太ももと遊真のニッカポッカがお披露目されます。
修が選んだ地形は…なんとスナイパー有利な、高低差と坂道のある「市街地C」でした。
この地形発表があったときの諏訪隊の作戦室でのリアクションが面白いんですよ。(よくコラにもされてます)
そしていよいよB級ランク戦第2ラウンド開始、当然スナイパーが高い位置をとればかなり有利になるので、開始直後に荒船隊は各自レーダーから姿を消すバッグワームを起動し高台を目指します。
このとき他のチームが高台に上り辛くなるように牽制するための狙撃もうまく、見事に荒船隊が玉狛第二、諏訪隊よりも先に上をとります。荒船隊が上を取ってしまったため、斜面を登ろうにも建物の陰から顔を出すこともできません。
このまま膠着状態になるか…と思いきや、なんと3人合流した玉狛第二が、下から千佳の狙撃(砲撃)によって荒船隊を撃っていきます。
まさかの撃ち合いですが、ここは当然、相手の姿が上からはっきりと見える荒船隊の方が有利です。
荒船隊3人の狙撃によって修と遊真のシールドはがんがん削られていきます。
…ん?待てよ、荒船隊3人とも玉狛第二を狙ってるけど、するとそのあいだ諏訪隊はフリーになるんじゃ…
「はっはあ! よォ荒船!!」
諏訪のショットガンによる砲撃を受けて、荒船は足に被弾してしまいます。
玉狛第二と荒船隊が撃ち合いをしている間に、諏訪隊が荒船隊に近づくことができたのです。
あえて荒船隊有利なステージを選択することで、「荒船隊VS諏訪隊、玉狛第二」という構図にするのが修の狙いだったのでした。
…というのが10巻ラストまでのお話ですが、
乱戦で盛り上がり最高の状態から11巻は始まります。
諏訪に距離を詰められた荒船を援護するために、半崎が援護射撃をします。その正確な狙撃が見事に諏訪の頭に命中します…が、なんと諏訪は狙撃が頭にくると予想して、シールドをあらかじめ頭に集中させていたことによって狙撃を防ぎます。
この一点読みが大当たりしたことにより穂刈も援護射撃をせざるをえなくなり、荒船隊の3人全員の位置が割れてしまいました。
まずは最初の援護射撃で居場所が割れた半崎に堤…ではなく玉狛第二の遊真が襲い掛かります。
遊真の初撃をかわした半崎ですが、立て続けに堤のショットガンをくらいベイルアウトします。
続けて遊真と堤の攻防、この乱戦具合が楽しいですね。
間合いを取り中距離から攻撃しようとしてくる堤を、遊真はオプショントリガー「グラスホッパー」を使って攻略、撃破します。
これからランク戦で何度もこの遊真のグラスホッパーが活躍します。
遊真は次に穂刈に狙いをつけ、距離を縮めようとしますが、遊真に壁越しの斬撃が襲い掛かります。
それは笹森ではなく荒船の弧月でした。
なんとアクション派狙撃手(公式名称)の荒船は、スナイパー用のトリガー「イーグレット」だけでなく、アタッカー用のトリガー「弧月」でも個人ポイント8000点を超えるマスタークラスのオールラウンダーだったのです。
一転して遊真VS荒船、穂刈になり遊真が不利になってしまいました。
しかし荒船が弧月に切り替えたということは、スナイパー同士の援護射撃がもうできないということです。
笹森が穂刈に狙いをつけて追いかけます。(この時点で諏訪隊もばらけました)
…と、ここで不思議に思った人もおおいはずです。修はいま何をやってるのだろうと。
実は修は荒船と穂刈の二人を狙える距離、かつ諏訪隊と反対方向の位置に陣取っています。
しっかり荒船隊の2人にプレッシャーを与えているのです。
穂刈は笹森に追いつかれてしまいますが、笹森に言葉の駆け引きを仕掛けます。
「いいのか?諏訪さんについてなくて……それとも外されたか?戦力的に おまえじゃ勝てねーもんな荒船には」
「そうすね でも 今は穂刈先輩をおさえるのがオレの役目なんで」
成長したの…笹森。
いや本当に成長しましたよね笹森。諏訪さんをキューブにされてテンパってラービットに単身挑もうとしていた大規模侵攻序盤とはくらべものにならないです。
これは大規模侵攻のエネドラ戦で、囮役を務めきるという経験を得た(それを風間さんに評価してもらった)ことによるものでしょう。
このラウンド2でもそうなんですが、B級ランク戦ではこの先もちょくちょく大規模侵攻という人型近界民との闘いを経たことによる隊員達の変化の描写があるので、そこもランク戦の見どころの一つかなと思います。
穂刈は笹森への反撃を諦めて遊真を狙撃します。
その狙撃は遊真の左肩に命中し、遊真は片腕が使えなくなってしまいます。
一方で穂刈は笹森の斬撃を受けてベイルアウト、笹森はカメレオンにより透明化し諏訪に合流しようとします。
ここからB級ランク戦ラウンド2の決着が一気につくので、その結末は読んで確かめてください。
僕は笹森の成長が紹介できただけでもう満足です(笑)
感想戦での東さんと古寺君のコメントも面白いです。
このラウンド2が終わり玉狛第二はB級8位に上がります。そして次のラウンド3での対戦チームは、13位の那須隊と、9位の鈴鳴第一と発表されます。
那須隊は初めて聞く名前ですが、鈴鳴第一は大規模侵攻に登場していましたね。あのラービット3匹と互角に戦ったアタッカー4位の村上鋼君がいるチームです。
B級ランク戦が終わったあと、遊真が緑川と個人ランク戦に向かう一方で、修、千佳、栞の三人が三輪隊の米屋、古寺と立ち話をしている途中、たまたま近くにいた風間隊の歌川と菊地原が話しかけてきます。
修にとっては風間隊二人との初めての出会いです。
菊地原は相変わらずのずけずけとした言い方で、遊真がやられたら終わりだから結局はB級どまり、としょっぱなから修にチームのダメ出しをします。
それと読者全員が疑問に思っていた「三輪は風刃を持ってS級隊員になったのか?」という質問を、修が古寺と米屋の2人にします。結論を言うとA級のままらしいです。
これはなぜかというと、風刃が攻撃に特化し過ぎているため、基本は今までどおり部隊で戦って、戦況に合わせて風刃を投入したほうがいいと三輪本人が上層部に進言したらしいからです。
というのを古寺君が説明してくれましたが、なぜ米屋は三輪に聞かされていないのでしょう。
個人的な考察ですが「過去に姉の仇のことを米屋が遊真にばらしたから、風刃のことをあえて米屋に話さなかった」説を推しています(笑)
修と古寺、米屋の三人も個人戦のブースに行き、そこに同じくさきほど試合を終えたばかりの荒船もやってきました。チームでの反省会後でしょうか。
と、そこに次の対戦チームの一人、村上鋼が現れます。
村上も遊真、修の二人にとっては初対面です。
試合の録画を見て玉狛第二を強敵と判断し、対策のために珍しく(米屋談)個人戦に現れた村上は緑川に対策のため個人戦に付き合ってほしいと申し出ますが、そこで遊真が村上に対戦を申し出ます。
とそこで荒船さんが気になる一言を
「やめとけ空閑 次の試合が不利になるぞ」
実はこれには村上のサイドエフェクト(!)が関わっていました。
この遊真VS村上という前哨戦によってそのサイドエフェクトの正体、そして村上鋼の恐ろしさが明らかになります。
大規模侵攻の台詞とかを見て慎ましい性格なのかと思っていたら、まったくそんなことはありませんでした。
淡々と最善手で敵を追い詰める村上の11巻12巻のラウンド3の戦い方とその実力を見ると、確かにネットで「レイガストガンダム」と言われるのも分かる気がします。
もっとも、今回の敵は鈴鳴第一だけではありません。
ステージ選択権を持つ那須隊の戦略により、このラウンド3でも転送完了しょっぱな度肝を抜かれます。
いきなりピンチになった玉狛第二、修がとった策は…と、また気になる引きで次の12巻に続きます。
…那須隊の熊谷ちゃん良いわぁ~。